Temu体験レビュー私はお勧めしません。でもマーケターは体験すべき


Temuとの出会い:99円広告の誘惑

Temuを知ったきっかけはFacebookに流れてきた広告でした。そこには「Xiaomiのタブレットが99円で手に入る!」という文言が目に飛び込みました。さすがに釣りだろうと思いながらも、気になってクリック。



すると、ルーレットゲームが始まりました。1回目は必ず外れ、2回目で当たり。ここでアプリのダウンロードを促されるわけです。

この時点で「これはうまく作られているな」と感じました。アプリを入れた後は、例の99円タブレットがフラッシュセールで購入可能になるための条件ゲームが始まります。ここからがTemuの本領発揮です。

巧妙なゲーム設計とユーザー誘導

そのゲームというのがまた巧妙で、指定された商品群から2,000円分を買う必要があるというルールになっていました。しかも一度選んだ商品に似たアイテムばかりがレコメンドで出てくるので、「なんか選んだ気になる」ユーザー心理をうまく突いてきます。

買い物を済ませると、セール開始までの時間にまた別のセールが表示されます。例えば「最大3万円のクレジットがもらえる」とか、「あと1%で達成!」というゲーム的な仕掛け。これらのタスクも、友達紹介・追加の買い物・個人情報登録といった“ECに必要なアクション”を自然にこなさせる設計になっています。

このあたりのマーケティング手法は非常に巧みで、思わず「うまいな」と感心しました。ついでに安価な雑貨類などもポチってしまいました。

99円フラッシュセールの実態

さて、いよいよ21時になり、99円のXiaomiタブレットのフラッシュセールが始まります。タブレットをカートに入れると、すぐに「あと1,000円分買い物しないと購入できません」と表示。仕方なくさらに1,000円分の商品を購入。しかし、いざ注文確定を押すと、カートからタブレットが消えています。

よく見ると「先着順です」との記載。つまり、フラッシュセールの条件を満たす前に売り切れたことになっているのです。そして再検索しても、そもそもそのタブレットが通常商品としてTemu内で取り扱われていないことに気づきます。

この時点で「これは99円で売る気がなかったんだな」と確信。ゲーム要素で煽り、レコメンドで興味を引き、最終的に売らない。実に巧妙ですが、買う側としては完全に肩透かしを食らった形です。

購入品の品質と最終的な評価

最終的に私は、服を3枚と傘を1本とクリップを一袋購入しました。服に関しては2枚はしっかりした厚みがあり、「まぁ着られるかな」というレベル。ただし、残り1枚は生地がペラペラで洗濯数回でダメになりそうな予感。そして傘については、一応開閉はできましたが、耐久性にやや不安が残ります。

アカウントはすぐに削除。アプリもアンインストールしました。結果的に約3,000円を勉強代として支払う形になりましたが、ここまで徹底して「釣って、育てて、売らない」仕組みを見せてもらったのは、ある意味貴重な体験でした。

結論として、Temuは「電子機器で欲しい商品を確実に手に入れたい人」にはお勧めしません。ただし、服や小物でほしいものがある方、ECやマーケティングに興味がある人にとっては、その心理誘導の仕組みを一度体験してみる価値はあるかもしれません。

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